「花澄、駅まで一緒に帰ろっ!」

「もちろん!」



今日は月曜日。

いつも通り何の変哲もない日。

和葉ちゃんとの、何気ない会話。

裏社会に関わりのある人物に出会ったなんて嘘のように、平穏な日だった。

ーーここまでは。



「ねぇ、なんか校門に誰かいない?」




和葉ちゃんの言葉に目を凝らして見てみる。

…教室の窓越しに校門一点をみると、明らかここの学校ではない人が立っているのは分かった。





「ねー、あそこに立ってる人超イケメンらしいよ」

「マジか!見に行こ」



クラス、学年どころか他学年の女子までもが、一直線に校門へ向かって行き。

校門には人だかりができる。

これは、早く帰らないと学校から出られなくなっちゃう。

…と、和葉ちゃんも思ったのか。



「…ちょっと早いけど帰るかー」



まずい…と、焦った顔で告げて、スクールバックを手に持つ和葉ちゃん。



「うん。そうしよう」



私も首を縦に振って、同意する。

…教室から靴箱へむかう間も、押し寄せる女子の波。

これは、本格的に帰れなくなっちゃうかも…。