「ああ、紫杏か。女をわざわざ送ってくなんて珍しいな」
帰って来て早々。
大雅が言葉通り珍しそうに俺を見る。
「まあね。…花澄ちゃん一人で歩かせるのは、なんか心配だったから」
「へー。倉沢のこと結構気に入ってんだ?」
「さあ、どうだろうね」
単純に、花澄ちゃんって変に無防備だから。
変にここら辺歩かせたら怖いじゃん。
それに、ここを知ってしまったことで危ない奴らから認識されちゃってるわけだし。
「監視役を引き受けるのなんて初めてじゃねぇ?やっぱり気に入ってたりするんじゃねえの?」
「さあ。…じゃあ、俺はこの後予定あるから」
それ以上は言及しないで欲しいーー。
そう思うままに、口を開く。
「あ、そ。女遊びも程々にしとけよ」
その言葉にフッと軽く笑って、立ち去った。