花澄ちゃんに視線を移すと、純真な笑顔を浮かべていて、絶句する。



「許してくれてありがとう。ずっと、気がかりだったから…」



その言葉に度肝を抜かれる。

…ああ、そうか。

この子は、俺が今まで関わってきた人たちとは違う。

…だからこそ、心を奪われそうになる。


ーー花澄ちゃんを送って、またあの場所へ向かう時。

すれ違う人のほとんどが、物珍しげに俺を見る。

…生まれ持ってきた赤い瞳。

この目の色のせいで、何度嫌な思いをしたことか。

根も葉もない噂を流されたり、好奇心だけで近づいてくる人ばかりで、毎日が憂鬱だった。

人と違うことは、個性でもあるけれど同時に、コンプレックスにもなり得てしまう。

そんなコンプレックスの塊でしかないこの瞳を、

「綺麗な色だ」と目を輝かせながら言う花澄ちゃんには、最初から惹かれていたのかもしれない。