…そんな中、口を開いたのは意外にも黒瀬くんだった。



「染野、今日の朝早く倉沢サンのところ行っただろ?連絡も何もなしで」

「…はい、8時頃に来ましたけど…」



すると、瞳孔を開いた黒瀬くん。

そんな驚き方するんだ、という驚きっぷり。



「マジか。あの早起き苦手な染野が。明日嵐でも来るんじゃねぇの」



早起きが苦手?

そんな素振り、全くなかったのに。




「紫杏くんは早起きというか、朝起きること自体苦手なんですよね」

「朝起きること自体…?」

「はい。普段はお昼時に起きてきますよ」

「…っそうなんですか…⁉︎」




それじゃあ、どうして朝早くに…?

紫杏くんの中に、どんな変化があったのだろうか。

と、そこまで考えて首を振る。

きっと、私にはわからないことだ。



「紫杏くんは午後に予定があるから、午前中に花澄さんを連れてきたのかもしれないですね」

「いや、でもそれじゃあ明日でいいだろ」



東郷さんの意見をバサッと切り捨てた黒瀬くん。

明日じゃなくて、今日じゃなきゃいけない理由があったとか…?

私には到底わからない。



「…ああ、倉沢サン」

「はい…?」



何か思い出したように名前を呼ばれる。



「俺には敬語使わなくていいから」




…えっと?

年上だと思ってたけれど、同級生だったのかな?