ボソッと物珍しいものでも見るような顔をした美形な子だったけれど。
「俺は黒瀬。……よろしく」
よろしく、だなんて微塵も思っていないような声の温度が伝わってくる。
私を見下ろす表情が、顔立ちもあってか冷たく感じる。
良くは思われてないみたい…。
「黒瀬くんはいつもああですから、気にしなくて良いですよ」
程よい低音の優しそうな声が耳にスッと入ってくる。
そういえば、この人は…?
「自己紹介が遅れました。
東郷和也(とうごうかずや)といいます。呼び方は好きなようにどうぞ」
「じゃあ、東郷さん、で。……えっと、よろしくお願いします」
丁寧な口調に、穏やかな笑顔。
どこをとっても優しそうな人って実在するんだって思った。
…二人が自己紹介を会えたと同時に、どこからか携帯の着信音が鳴る。
「ごめん、ちょっと電話出てくる」
どうやら紫杏くんのだったようで、部屋の外へ出ていく。
「……」
「……」
訪れる沈黙。
率直に言ってしまえば…、気まずかったり。
