喫茶店に向かうと、紫杏くんはいなかった。




「…倉沢サンじゃん。どうした?そんな必死な形相でここまで来て」

「…ふぅ、はあ……、あの、紫杏くんを知りませんか‼︎」

「は、はぁ…?染野?」

「うん、紫杏くん!どこにいるか、分からなくて…」



驚いたように私を見るその場の一同。



「紫杏くんなら、あなたに会いに行ったはずでは…?」

「会いに来てくれたよ。でも、すぐに帰っちゃって。
どこにいるか、知りませんか?」



真剣に問う。

紫杏くんの居場所が知りたい。



「それなら、家にいるんじゃねぇの?溜まり場に来た気配もねぇし。それでもいなかったら今日は諦めたほうがいい」



黒瀬くんが答えてくれる。

家が、最有力候補。



「ありがとう…!」



お礼を告げて、一礼した後、急いで紫杏くんの家に向かう。