からかい気味に笑う紫杏君。

紫杏君こそ、ものすごくSっぽい。



…そういえば。

ここに連れてこられた目的ってなんだろう。

ここにくるまでに何も聞かされてないし…なんなんだろう?



「じゃあ、花澄ちゃん。ちょっと着いてきてもらっていいかな」

「…うん」






コクリと頷くと、手を握られる。

冷たい温度に、優しく手を掴まれる。

ちょっと緩めたら離せちゃいそうなくらい優しく握られる。

心なしか、歩くペースもゆっくりな気がする。

…けれど。

二階って何があるんだろう?

裏社会の要注意人物とかいたりしないよね…?

怖くなって、紫杏くんの手をギュッと握る。




「言い忘れてたけど、ここのカフェに危ない人はいないから安心してね。みんな常識人だから」




よ、良かった…。

ホッと胸を撫で下ろす。

…危ない人って言うと、紫杏くんも十分危ない人だけれど、そこまで悪い人では無さそうだし…?

とりあえずは安心かな?