さっきから耳ばっかり責められて、もう、むり…。

涙目で紫杏くんを見つめると、少しだけ顔を歪ませてる…?



「…やっば。涙目、上目遣いで名前呼びって結構クるかも」

「くる…?」

「今すぐベット行きたいくらいだけど、花澄ちゃんって処女だっけ?」

「ゃ…うっ…、え?」



処女って…うぅ、その通りなんだけれど。

恥ずかしくて、頷けない…。




「その反応じゃそうなんだ。ファーストキスもまだだったりして?」

「……っ」




高校生にもなってファーストキスもまだって、遅いのかな。

…いや、ふつうだよね?




「へぇ、そっか。ファーストキスもまだじゃ手は出せないか。俺こうみえて紳士だから」




妖艶に笑う紫杏くん。

滲み出る色気がすごくて、直視できなかった。




「…あのなぁ、おまえら俺の存在忘れてるだろ」



甘い雰囲気を壊すように、鋭い声が飛んでくる。

…そういえば、大雅くんいたんだった…。

穴があったら入りたい。



「ああ、すっかり。大雅いたんだ」