思い出してはチクリと痛む自分に嫌気が差す。
監視役と監視対象なんて、向こうからしたら仕事対象の人物で。
恋愛対象とは程遠いのに。
それは嫌ってくらい実感してるのにな。
「…ねっ、花澄。気分転換に合コン行くのはどう？」
悶々としている私を見兼ねてか、突拍子もないことを言い出す和葉ちゃん。
合コンって、あの合コンだよね…。
「和葉ちゃん、彼氏さんいるんじゃないの…？」
「ああー…私は行かないから大丈夫」
「…え？」
行かないからって、それって…。
「私、合コン誘われちゃって。彼氏いるから無理って言ったんだけど、他の子探すようにお願いされてね。ということで、気分転換に行ってみない？」
「気分転換、に…」
「そう。難しかったら断ってくれても全然良いから」
ツテはたくさんあるから、とウィンクする和葉ちゃん。
本来なら断ってるし、断るはずだった。
でも、脳裏にチラついてばかりいる紫杏くん。
…失恋には新しい恋、なんていうように。
少しずつ、私も前を向いていきたいから。
「行ってみようかな…」
「本当⁉︎分かった、連絡しとくね」
これを機に、紫杏くんのことが少しでも頭の片隅から消えるようにと承諾した。
