康二さんの淹れてくれたコーヒーを飲み干して、席から立つ。
向かう先はもちろん、花澄ちゃんのいる学校。
今から行けば、ちょうど門から出てくる時間と被るだろうし。
街中を歩くと浴びる視線。
幼い頃から、この赤い瞳に反応する人がたくさんいた。
物珍しそうな、興味津々な顔を皆していた。
そして、その誰もが口を揃えて言う。
“変わった目の色だね”、と。
親が離婚するきっかけとなった、捨てられる原因となったこの瞳。
コンプレックスと恨みしかなかった。
でも、それを花澄ちゃんは“綺麗”と言ってくれた。
初めて会ったあの時から、惹かれていたのかもしれない。
駅の電車の待ち時間にさえ苛立って、馬鹿らしいほど必死な気持ちで向かう。