どちらともなく食べ終えて、気恥ずかしさの残った空気のまま駅に向かい、電車に乗る。



「…それじゃあ、倉沢さんまた明日。今日は付き合ってくれてありがとう」

「こちらこそありがとう。また明日ね」



私も一つ遅れで駅を降りる。

意外と時間が経っていたみたいで、茜色が広がっている。


家へ向かう途中。

こないだと同じ女の人が、紫杏くんと腕を組みながら歩いていた。

前より近い距離で見る、2人の様子。


私といる時とはまた違う笑みを見せる紫杏くんに、胸がズキっと痛んだ。


女の人も紫杏くんも綺麗で、美男美女だから、あちらこちらから「お似合いだね」って声が聞こえてくる。

胸が痛むのと同時に、モヤっとした得体の知れない感情に埋め尽くされる。

嬉しそうな女の人の横顔と、笑みを浮かべる紫杏くん。


見てられなくて、逃げるようにその場から立ち去ったーー。