「倉沢さんが誘ってくれるなんて、珍しいね」



宮西くんとの帰り道。

紫杏くんの中低音で艶のある声とはまた違う、優しそうな声が耳に入る。



「誘ってくれてすごく嬉しかったな…」



柔和な雰囲気に親しみやすい言葉。

一緒にいて、心地が良い。



「あ、でも。話していた女の人、彼女さんだったりするの?」



彼女さんだったら悪いな、と思って聞けばやんわりと否定される。



「まさか。俺、彼女いないし。言い寄られてたところだから逆にありがたかったよ」

「良かった…。彼女さんだったら申し訳ないことしたなって思って」



…にしても、宮西くんってフリーなんだ…?

やっぱり宮西くんレベルになってくると理想高かったりするのかな。



「彼女はいないけど、好きな人ならいるけどね」

「……へっ?」

「倉沢さん、すっごい変な顔してるけど。
そんな驚くこと?」

「驚くよ!!だって、宮西くんに好きな人がいるなんて初耳だもん…」


「それは初めて言ったからね。…あ、これ内緒でよろしくね」