…それなら、いいかもしれない。

だけど、宮西くんは迷惑じゃないかな。



「宮西なら迷惑どころか嬉しがると思うよ。
それに、変な遠慮はしちゃダメ。禁止」




和葉ちゃんにポンっと背中を押される。

その勢いのまま、宮西くんのもとへ向かう。

…けれど、宮西くんはどうやら女の子と話していて様子を伺おうとすると。

私に気づいた宮西くんが、話を中断してこちらに来てくれた。



「倉沢さん、何か俺に用事あった?」

「うん。けど、お話し中だったよね?大丈夫そう…?」

「気にしないで。それよりどうしたの?」



普段学校で話すことがないからか、不思議そうに首を傾けられる。

思い切って、口を開く。



「今日、一緒に帰りたいんだけど、いいかな…?」



たどたどしくそう告げれば、瞳を大きくした宮西くん。

驚いてる、のかな。



「一緒にって、染野さんも?」

「いや、ええっと…、ふたりで…」

「……‼︎」



ますます瞳を大きくさせる宮西くん。

驚いている宮西くんは初めてで、私まで驚いてしまった。



「迷惑、かな…」

「いや…、全然迷惑なんかじゃない。むしろ嬉しいし。一緒に帰ろう」



いつもより早口な宮西くんに頷いた後、
紫杏くんに今日はお迎え大丈夫です、とメールを送った。