「紫杏くん…?」
「ん?」
自室へ、階段を登って行こけば後ろから支える形で紫杏くんも着いてくる。
「フラフラしてるの気づいてない?転げ落ちそうだよ」
心配して、支えてくれているらしい。
自室に着いてベッドに入ったのを見届けて、部屋を出て行こうとする紫杏くん。
「行っちゃうの…?」
「うん。お大事にね」
ドアに手をかける彼の背中に、たまらなく声をかける。
一人じゃ、心細いし、何より。
「…嫌だ。行かないで」
紫杏くんに近くにいてほしかった。
避けていることなんて頭になくて、熱のせいで頭がポワポワしている。
何も考えられなくて、素直に言葉を発してしまう。
「…寂しいの?」
「うん。紫杏くんに、いてほしい」
そう言えばすぐに意地悪な顔をしながら近づいてくる。
「避けてたのに?」
意地悪な質問。
今は、聞かないで欲しいのに。
「ダメ…?」
返す言葉もなくそう口にすれば、今度は困った顔をした。
「…はぁ。ダメじゃない。傍にいるから寝ること」
