でも、その心配は不要だったらしい。

裏門に着いてすぐ、和葉ちゃんからバトンタッチするように私を支えてくれた。

和葉ちゃんと紫杏くんが何か言葉を交わした後、正門へ向かう和葉ちゃん。

そこで視界が暗転。

フラッとしてしまい、座り込んでしまう。



「…花澄ちゃん⁉︎」



初めて聞く、心底焦ったような声。

隣で紫杏くんもしゃがみ込む気配がした。




「今、家に誰かいる?」



その言葉にふるふると首を横に振る。

紫杏くんが何か話しているようだけれど、ボーッとして頭に入らない。

そうしてる間に、ふわりと紫杏くんに抱き上げられて、いつの間にか目の前に来たタクシーに乗せられる。



「…どこ向かうの?」

「花澄ちゃんの家」



即答。

学校から私の家までタクシーだと、結構な金額するんじゃ…⁉︎



「一応言っておくけど、お金のこととか余分なこと考えないでね」



…思考を読み取られたような言葉が発せられた。

数十分して家に着くと、一緒にタクシーを降りる紫杏くん。

そしてそのまま、私の家に直行する。