「この間倉沢さんを拐った相手が、“染野の弱みを握るために拐った”と白状していたのですが。紫杏くんの弱み…、秘密を。知っているのですか」




店内には、私と東郷さんと黒瀬くん、大雅くんの四人のみ。

私を除く全員が、私の答えを待って耳を傾けている。

緊張感のある空気が流れている。



「秘密、というか。過去なら知っています」

「…過去、ですか。それは、また……なるほど」



私の言葉に自己完結している様子の東郷さん。

その場の空気が、一気に和らいだ。



「花澄と紫杏ってすげー仲良いのな。
俺ら三人して紫杏の過去は何一つ知らねぇんだよ」



感心したように腕を組んで頷く大雅くん。

紫杏くんって、三人と仲良さそうなのに。

秘密主義なのかな…?



「仲良い、とはまた違うんじゃねーの」



呆れ顔で大雅くんに告げた黒瀬くん。

その後、ふと目が合う。