その瞳に囚われて



「染野さん待たせちゃうのも悪いし、行こっか」

「…うん」



宮西くんの言葉で、紫杏くんのもとに向かう。

昨日の今日だから、不安と緊張が共存している。



「倉沢さん、そっち裏門じゃない?正門じゃないの?」



いつも通り裏門へ足を運ぶと、引き止められた。

…最近は裏門ばっかり行ってたから忘れかけてたけれど、通常は正門から出る生徒が多いんだよね。

というか、裏門の存在自体知らない人も結構いたり。



「紫杏くん目立っちゃうから、裏門で待ってもらってるんだよね」

「あー……そっか」



納得したような表情を浮かべる宮西くん。

全て、悟ったよう。



世間話をしながら歩くと、裏門に着く。

紫杏くんが見えて恐る恐る声をかけると、こちらをみてすぐ、表情を崩した。



「…紫杏くん、どうかしたの?」

「どうかしたのも何も、聞きたいことがいくつかあるんだけど」