その瞳に囚われて


***


女の人と紫杏くんの映像が頭の中をぐるぐる駆け巡っている。

勝手に考えてはモヤモヤして…の繰り返し。

なんとか頭の隅に追いやっても、どこからともなく出て来てしまう。



「花澄、大丈夫…じゃないよね」



休み時間、心配そうに来てくれた和葉ちゃん。

察してくれるあたり、本当にありがたい…。



「和葉ちゃん…、今日もね、多分紫杏くんが迎えにくるんだけど、どう接すればいいのかな……」



昨日の今日で、何をどう接すればいいのか。

頭が破裂寸前だ。


「…とりあえず、いつも通りに接するのが無難じゃないの?向こうは花澄が見てたこと知らないわけだし」



…もちろん和葉ちゃんの言う通り接するのが一番いいのだけれど。

いつも通り、上手く接することができるかな。

女の人とのこともそうなのだけれど、昨日の車での会話からギクシャクしてないかなって。

少し…、結構不安だったりする。

予鈴のチャイムがなっても、雑念は消えなかった。