「あの、ここって…?」
「うん、見ての通り。花澄ちゃんが昨日来た場所だね」
染野くんと出かけて、おおよそ10分くらい経過した頃。
ずっと歩いてて、ちょっと足が疲れてきたかも…なんて思ってた、まさにその時。
ピタッと止まったと思ったら、表社会と裏社会を繋ぐあの入り口まで来ていた。
今までとは、違う。
この先が危ない場所だと知ってしまったら、恐怖感で全てを支配される。
ここは、危ない。
今すぐでも帰ったほうがいいって頭が警報を鳴らしてるのに。
「この先に行くよ」
「……」
「…あー、怖いの?でも、帰る選択肢はないから」
…どうやら、拒否権はないらしい。
ギュッと手を握られて、逃さないように捕らえられる。
「ここから先はものすごく危ないから、俺から手を離しちゃダメだよ」
一本道、まだ出口が見えていない割と中間のところで。
染野くんが石垣を押すと、ドアのように開く。
普通に通ってたら絶対気づかないような場所に、目立たないように存在しているドアがとても…怖い。
この先、この扉の先に踏み込んでしまうと、もう家にも学校にも戻れないような気がして、足がすくむ。
力が全然入らない…。
