その瞳に囚われて



「でも、俺は。花澄ちゃんが秘密を話さないでくれたこと、嬉しかった」



泣きそうな、嬉しそうな、感情の絡まった笑み。

え…?と思わず言葉が漏れる。

どうしてそれを知ってるの…?



「監視という仕事柄ね。花澄ちゃんの制服に盗聴器兼GPSを付けてたんだ。ビックリさせちゃった?」



小さく笑った彼。

ビックリ…の域じゃない。

それじゃあ、制服を着てるとき私が発した言葉が、全部漏れてるってこと…?



「安心して。盗聴器…とはいっても、花澄ちゃんがいる場所に問題なければ使わないから。今さっき使ったのが初めて」

「そうなんだ……。よかった…」




はあ、と思わず息を吐く。

それと同時に、先程言われた監視、という言葉に囚われてしまう。

私はきっと、監視対象以下でも、以上でもない。

失恋の重みがじわじわと襲いかかってくる。