「本来なら殺してるところだけど。
生憎、花澄ちゃんに汚い現場は見て欲しくないからな。運が良かったな、あんた」
撃たれた腕を押さえながら、怯えた顔をする男の人。
腕を押さえたまま倉庫から出て行こうとするところを、黒服の人たちに捕まって…。
姿が見えなくなった。
「…っ、紫杏くん…、怖かった……」
「…うん。怖かったね。来るの遅くなってごめん」
ぎゅっと落ち着かせるように抱きしめてくれる紫杏くん。
聞き慣れた声とよく鼻にするムスクの香りに落ち着いてくる情緒。
これじゃあ惚れ込む一方だ。
「立てる?」
グッと腕を引っ張ってもらうけれど、腰が抜けちゃって立てないみたい…。
何度立ちあがろうとしても、結果は同じで。
「…抱っこ、したほうがいい?」
「それは、絶対いや…っ!」
自分でも考えられない強い声が出て、驚く。
