その日の夕方。

今日のできごとについて頭を悩ませては、絶望の2文字が突き刺さる繰り返し。

悶々としていても何か分かるわけでも変わることでもなくって、それでも考えてしまう。

彼女さん、なのかな。

それとも、遊び相手…?

どちらにしろ、遠目からみてもわかるスタイル抜群なお姉さんに勝てるわけがない。

次に紫杏くんに会うとき、どんな顔をすればいいの?

普通に、いつも通りがわからない…。


気晴らしに近くのコンビニまで散歩しようと思って、外に出る。

夕暮れ時、茜色に染まった空がやけに綺麗に見えた。

頭を冷やすため、意識を紫杏くんから逸らすため、いつもと違う道を通ってみる。

人通りがほとんど無くて、遠くから子供の声が聞こえてくる。


でも、歩くに連れて声も遠ざかって、静まり返った空間が出来上がる。

なんだか気味が悪くて歩くペースを早めると。



「……っ⁉︎」



口元を何かが覆い、腕を引っ張られる。

そこからプツリと記憶が途切れた。