「…綺麗だ」
「…え?」
いきなり放たれた言葉に心臓が波を打ちながら、綺麗だの3文字に戸惑う。
何が綺麗なのか。
どうして綺麗なのか。
何もわからないけど、でも、明らか私に向けられた言葉に全身が熱くなる。
「…ああ、そういえば。花澄ちゃんって今日予定ないよね?」
先程の空気感はどこへやら。
ふんわりと柔和な雰囲気で聞いてくる。
一変した空気に、驚きを隠せない。
「ない、ですけど…?」
「だよね、良かった。今から来てもらいたいところがあるんだけど、今すぐ身支度終わらせられる?」
あ…。
インターホンが鳴ったからって、髪の毛はくるくる、服装もカンペキ部屋着で染野くんの目の前に立ってるなんて。
恥ずかしすぎる…。
「はい、今すぐ身支度してきます…!」
まず、自分の部屋まで駆けていき、一番大人びていて可愛い服に着替える。
今日はちょっと、慌ただしい一日になりそうな予感。
