私は、言葉を濁された感じがして納得いかなかったけど、頭を撫でられたせいで何も言い返せなかった。
「ねぇ」
「なに?」
「あれやっていい?」
「あれってなに?」
「それは」
不意に唇が塞がれた。その直後柔らかいものが私に触れた。
「っ……!」
数秒フリーズした後自分の身に起こっている現状を理解した。
「ちょっと!んっ…!」
何回も繰り返されるあついキス。
息継ぎする暇さえ与えてくれない。
首を甘噛みしたり。吸われたり。吸われたところがだんだん熱を帯びてきていた。
唇に触れたり。
「んっ…。まって、あっ」
「待ってられるかっての。もう我慢できねんだよ。何回耐えてきたと思ってんだ」
「でもっ…あっ、そこは!んっあっ」
やめてと言ってもやってくるキス。
「あっ!んっ…ダメ…そこは…あっ」
「やめねぇよ」
ついに手首まできた。
「やっ。そこはだめ。あっ…くすぐったいよ。いやっ…あっ…!うっ。あん」
キスだけでは止まらず舌も使ってきた。
「花蓮」
甘い声で呼ばれた。
「なに?」
私は目線だけ優弥の方に向けた。
「かわいい」
私は一気に顔が赤くなった。
「だからもっとかわいくしたい」
「えっ?何を言って…いや。そんな…あっ…」
唇を塞がれては、口の中に舌を入れられ。
首、腕を舐められ、吸われ。
不思議と嫌な思いは、しなかった。
むしろずっとこのままがいい。そう思った。
終わった時には、どっちも息が切れていた。
私は、ちょっと目が潤みながら言った。
「急にこんなことしないでよ。びっくりしたじゃん。やるんだったら一言言ってからにしてよ」
「嫌だ。言うの恥ずいじゃん。嫌だった?」
不安そうに言ってきた。私は照れながらも
「ううん。そんなことない。むしろ…その…
う…れしかっ…た」
恥ずかしくなって下を向いていると
「花蓮」
頭上から声が聞こえた。
私が顔をあげると
「ごめん。もう無理」
そう言って抱きしめてきた。
「大好きだ。花蓮」
私は嬉しくなって、私もだよっていう思いを込めて抱きしめ返そうと思って腕を動かそうとしたけど、ぎっちりしめられて動かせなかった。
でも、今思っていることを素直に言った。
ちゃんと耳もとで
「私も優弥大好き」
ピクっと優弥の肩が震えた。
私はなんとか体を動かして一旦優弥を自分の体から離して
「だから、これからもずっと一緒にいてね」
優弥は、困惑した顔で
「あぁ。これからも時間の許せる限り一緒にいたいよ」
家の電気がつき始めた時私達は、顔を見合わせてキスをした。
さっきのようなのではなく、お互いを包み込むような。

私達は帰路についた。
急に羞恥心が襲ってきたせいで、お互い無言だった。でもちゃんと手を繋いで帰った。
久々に繋いだ手は、昔よりたくましくなっていた。
「じゃあな。また明日」
「うん。また明日」
家に入ろうとすると後ろから優弥が話しかけてきた。
「なぁ。明日昼一緒に食べねぇ?」
私は驚いたあと笑顔で言った。
「うん。いいよ」
優弥は、嬉しそうに笑った。
「それじゃぁな。おやすみ」
「優弥も。おやすみ」