及川花蓮
「か…れん?」
血の気が引いた。
信じられなくてICUの中を覗くと俺の彼女の花蓮がいた。
俺は花蓮を知っている看護師さんに聞きまくった。
「ICUにいる及川花蓮って俺の彼女の花蓮ですか?」
「及川花蓮さん?知らないですよ」
「及川さんは花蓮ちゃんじゃないよ?人違いじゃない?」
ほかの看護師さんも同じようなことを言った。
でも、俺が見たのは俺の彼女の花蓮だ。
俺はもう1回聞きに行った。
何回も何回も問い詰めた。
そしてついに看護師さんは折れた。
「そうだよ。ICUにいる及川花蓮ちゃんは優弥くんの彼女の花蓮ちゃんだよ」
「なんでICUに居るんですか?」
看護師さんは目を伏せて悲しそうにした。
「花蓮ちゃんは……落ちたの」
「は?」
頭がフリーズした。
「花蓮が……落ちた?…どこ・・から?」
口ごもった。
俺は看護師さんが口を開くまでずっと待った。
「………病院の…屋上から」
「…え?」
花蓮が病院の屋上から落ちた?
膝が震えてきた。
今にも崩れ落ちそうだ。

なんでなんでなんでなんでなんでなの?
どういうこと?

遠くで看護師さんの声が聞こえる。
でも、何を言っているのか分からなかった。
聞こえなかった。