「そんな。頭をあげてください先生。私は何もしてないです」
先生は頭をあげて優弥の方を見ながら
「でも、優弥くんが今生きているのは、彼女というあなたの存在があるからです。昔の優弥くんからは、想像できないくらい生き生きしてます」
先生は私に向き直って
「本当にありがとう。これからも優弥くんの生きる意味になって」
優しく微笑んだ。
「言われなくてもそのつもりですよ」
先生はハッとした表情をした。
「…そうですね。では、私は行きますね」
「はい。頑張ってください」
病室から出て行った。

優弥…帰ってきて…また笑って見せてよ。
あなたの輝く笑顔。私大好きなんだよ?
なんで優弥なんだろうね。
会いたいよ。
またお話したいよ。
「戻って来て。優弥。あなたのいないみらいは、辛いよ」
ボソッと呟いた声は誰にも拾われることなく消えていった。