君の命が続くまで

放課後、愛と話していると
「花蓮。行くぞ」
優弥が来た。
「あっ!うん。ちょっと待って」
私は急いで準備をして
「じゃぁ愛またね」
「うん。またね」
愛に手を振って、優弥に駆け寄った。
「行こっか」
「おう」
私は、もう1回愛の方を向いて手を振った。
「ばいばい」
愛は笑顔で返してくれた。
「ばいばい」
優弥と揃って歩き出した。
「今日どこ行くの?」
「言わねぇよ」
「ふぅん」
まただ。優弥は自分のことを隠す。言って欲しいことも、言わない。頼りないのは、嫌というほど分かってる。でも少しは打ち明けて欲しい。優弥曰く、周りに迷惑をかけたくないらしいんだけど、ちょっとは言って欲しい。
こう思っても優弥には届かないから意味ないんだけど。
「…れん。か…ん。花蓮!」
「はっ!どうしたの?」
顔を上げると優弥が心配そうに私の顔を覗き込んでいた。
「どうしたの?じゃねぇよ。花蓮ずっとぼーっとしてんだよ」
「なんでもないよ。ちょっと考えごとしてただけ」
優弥は安心したような顔をした。
「あっそ。ほら行くぞ」
私の手を取って、優弥はずんずん歩き出した。
「え?あっ、ちょっ待って」
私は半ば引きずられる感じで連れ去られた。
「どこ行くの?」
私は誤魔化されるのを覚悟で聞いてみた。
「とあるところ」
優弥はやっぱり誤魔化した。
私は置いていかれないように必死について行った。
ついて行くのに必死で前を見ていなかったからちょっとした事故が起きた。
ドンッ
「痛った。何?」
ぶつかったから顔を上げてみると
「ひっ!」
サングラスをかけたよくわかんない男の人がいた。
「痛ってぇ!おい。怪我したんだけど。金出せや」
怖くて全然呂律が回らなくて黙っていると
「金出せって言ってんだろ!」
男の人が私のカバンに手を伸ばしてきた。
動けなくてそれを黙って見ることしか出来なかった。
やばい。盗まれる。
焦って冷や汗がすごくなってきた。
周りの音が何も聞こえなくなってきた。
「おい。やめろよ」
その時、優弥の声が鮮明に聞こえた。
「あ?なんだ?お前。俺はそこの女に話してるんだよ。邪魔すんな」
優弥に殴りかかってきた。
ガシ
優弥はその腕を掴んだ。
「こいつ俺の彼女なんで。手出さないでください」