はじめくんの正体が浅羽くんだと分かった二週間後。


浅羽くんは学校に来なくなった。


もちろんいつも一緒におしゃべりをしていた場所にもいない。


私は期待をしながらも、そこに浅羽くんが居ないという事実に落胆しながら通り過ぎようとする。


その時、



「やっほー。ななちゃん」



清さんが現れた。



「どうしたんですか?」

 
浅羽くんとの関係が無くなった今、私に用なんてないはずだ。



「浅羽が最近、うるさいんだけど」


「私には関係のないことなんで」


「ほんとに?」


「本当です」



清さんは大きなため息をついた。


そして、一枚の紙を私に渡してきた。


そこには、電話番号が書かれている。



「俺の電話番号。登録しておけよ!何かあったら連絡するから」


「……何かってなんですか?」



心臓がドクドクと鳴る。


嫌な予感がする……。



「もうすぐ抗争が始まるんだ。やっと決着をつけるときが来た」


「それって……!



浅羽くんは大丈夫なんですか?!


そう聞こうと思ったけど、私と浅羽くんはもう、関係が無くなったから会えないんだ。


忘れるしかないんだ。



「登録しておけよ!」



清さんはそう言って立ち去った。


私の心臓はドクドクしたままだった。