プロローグ
"しゃーねぇな、俺が一生…守ってやるよ"
君はそう言って、僕を優しい笑顔で抱きしめたんだ。
一章 モノクロ世界のヒーロー様。
チュンチュン…
何処からか小鳥の囀る声がする。
うっすらと光を感じるな…と思った次の瞬間には眩しさに変わる。
朝かな…?ゆっくりと瞼をひらく。
カーテンの隙間から覗く日光は起き上がった僕の脳内を刺激した。
うっ…。ズキンと頭が痛む。
枕元に置いた愛用のデジタル時計は、10月9日の月曜日、6:03分を示していた。
はぁ…思わず口から溜め息を漏らす。
「行きたくないな…」
別に月曜日だから学校に行くのが憂鬱で行きたくないと言っている訳じゃない。まぁ…簡単に言うと…いじめだ。
僕、小野春希(おのはるき)は、とある高校に通う1年生だ。僕の通う学校は、治安が悪い。校則どころか無法地帯で、弱肉強食の過酷な世界だ。弱いものは殺されてしまう。それが当たり前な世界なんだ。教室はボスと呼ばれるクラス1の強者が独立社会を作っていて、クラスメートも内心下剋上の機会を伺いながらボスに従うふりをしている。
今日は学校を休もうかと考えて、出席日数が足りなかったのを思い出す。
一応治安は悪くても授業はあるので、出席日数が足りない場合、単位保留となり、留年となってしまう。
それだけは嫌なので、仕方なくいじめられるとわかっていても毎日学校に通っているのだ。
何故いじめが始まったのか、何故僕なのかはわからない。教室内で弱かったからかもしれないし、単に目に入ったからかもしれない。いじめなんて突然だった。それまでは、仲が良い人は特にいなかったけど、まぁまぁそこそこには過ごしていた。ある日、風邪を拗らせて一週間くらい学校を休んだ後から始まった。
初めは、机の落書きだった。机に書かれた自分への罵詈雑言。それから暴言に暴力が始まった。殴る蹴るの毎日で、精神的に保って入れているのがやっとだった。それでも、みんなの前では、絶対に泣かなかった。泣いたら負けだとおもってたからだし、泣いたらきっともっと酷くなるだろう。あの人達は、僕が泣くと喜ぶ。
僕は、ゆっくりと身体を起こし、学校へと向かった。
ゆっくりと、いつも見知った道を歩く。
ゆっくりと、いつも乗る電車に乗る。
ゆっくりと、いつものホームに降り立つ。
ゆっくりと、いつもの学校目指し、ゆっくりと、モノクロの世界を歩く。ただ、今日もこのモノクロな世界にヒーローが現れるのを心の何処かで願いながら。
そんなことないとわかっているはずなのに。
そんな人はいないとわかっているはずなのに。
それでもまだ、願ってしまうんだ。
教室の前に立つ。深く深く、深呼吸をする。ドアに手をかける。あくまで笑顔で。笑顔で。笑顔で…。無理矢理でもいい。笑顔をつくり、ドアにかけた手に力を入れ横に引く。
ガララ…
「おはよ。」
きちんと、笑えただろうか。
『ぷ、またきた。』
『今日も来たんだ。えら』
『え、何かみえてんの?俺には見えねぇけどww』
『やべ、ゴミがきたぞ〜うつるうつる(笑)逃げろ〜』
あぁ、そうだよな…。ヒーローなんて、現れるわけないじゃん…。俯きそうになる顔を必死にあげて机に向かって一歩踏み出した。
ドス、ドサッ… ぐふっ…
背中に強い鈍痛が走る。足をかけられたのか。持っていた荷物と教科書類が辺りにグチャグチャに散乱している。
"しゃーねぇな、俺が一生…守ってやるよ"
君はそう言って、僕を優しい笑顔で抱きしめたんだ。
一章 モノクロ世界のヒーロー様。
チュンチュン…
何処からか小鳥の囀る声がする。
うっすらと光を感じるな…と思った次の瞬間には眩しさに変わる。
朝かな…?ゆっくりと瞼をひらく。
カーテンの隙間から覗く日光は起き上がった僕の脳内を刺激した。
うっ…。ズキンと頭が痛む。
枕元に置いた愛用のデジタル時計は、10月9日の月曜日、6:03分を示していた。
はぁ…思わず口から溜め息を漏らす。
「行きたくないな…」
別に月曜日だから学校に行くのが憂鬱で行きたくないと言っている訳じゃない。まぁ…簡単に言うと…いじめだ。
僕、小野春希(おのはるき)は、とある高校に通う1年生だ。僕の通う学校は、治安が悪い。校則どころか無法地帯で、弱肉強食の過酷な世界だ。弱いものは殺されてしまう。それが当たり前な世界なんだ。教室はボスと呼ばれるクラス1の強者が独立社会を作っていて、クラスメートも内心下剋上の機会を伺いながらボスに従うふりをしている。
今日は学校を休もうかと考えて、出席日数が足りなかったのを思い出す。
一応治安は悪くても授業はあるので、出席日数が足りない場合、単位保留となり、留年となってしまう。
それだけは嫌なので、仕方なくいじめられるとわかっていても毎日学校に通っているのだ。
何故いじめが始まったのか、何故僕なのかはわからない。教室内で弱かったからかもしれないし、単に目に入ったからかもしれない。いじめなんて突然だった。それまでは、仲が良い人は特にいなかったけど、まぁまぁそこそこには過ごしていた。ある日、風邪を拗らせて一週間くらい学校を休んだ後から始まった。
初めは、机の落書きだった。机に書かれた自分への罵詈雑言。それから暴言に暴力が始まった。殴る蹴るの毎日で、精神的に保って入れているのがやっとだった。それでも、みんなの前では、絶対に泣かなかった。泣いたら負けだとおもってたからだし、泣いたらきっともっと酷くなるだろう。あの人達は、僕が泣くと喜ぶ。
僕は、ゆっくりと身体を起こし、学校へと向かった。
ゆっくりと、いつも見知った道を歩く。
ゆっくりと、いつも乗る電車に乗る。
ゆっくりと、いつものホームに降り立つ。
ゆっくりと、いつもの学校目指し、ゆっくりと、モノクロの世界を歩く。ただ、今日もこのモノクロな世界にヒーローが現れるのを心の何処かで願いながら。
そんなことないとわかっているはずなのに。
そんな人はいないとわかっているはずなのに。
それでもまだ、願ってしまうんだ。
教室の前に立つ。深く深く、深呼吸をする。ドアに手をかける。あくまで笑顔で。笑顔で。笑顔で…。無理矢理でもいい。笑顔をつくり、ドアにかけた手に力を入れ横に引く。
ガララ…
「おはよ。」
きちんと、笑えただろうか。
『ぷ、またきた。』
『今日も来たんだ。えら』
『え、何かみえてんの?俺には見えねぇけどww』
『やべ、ゴミがきたぞ〜うつるうつる(笑)逃げろ〜』
あぁ、そうだよな…。ヒーローなんて、現れるわけないじゃん…。俯きそうになる顔を必死にあげて机に向かって一歩踏み出した。
ドス、ドサッ… ぐふっ…
背中に強い鈍痛が走る。足をかけられたのか。持っていた荷物と教科書類が辺りにグチャグチャに散乱している。