「ダイエットはやめなさい」
「はい」
そう言わないと収まらない空気があり、仕方なくうなずいた。

「ところで今度の週末だけど、タロウを連れて遊びに来れないかなあ?」
「今週末ですか?」
「うん。実は僕、東京には出向で来ていてあと2か月ほどで一旦地元に戻るんだ。来月になると残務の処理もあってなかなか時間が取れそうもないから、できれば近いうちにタロウに会いたい」

なるほど、会いたいのはタロウね。

「来週ではダメですか?」
「いいけれど、今週では都合が悪いの?」
「ええ、まあ」

実際用事がある訳ではない。
ただ日に日に悪阻が落ち着いてきているから、少しでも先に延ばしたいだけ。
そしてあわよくば、なし崩しにキャンセルしてしまいたい。

「わかった来週末、約束だよ」
「はい」