「黙ってるつもり?」
「うん」

言ったら大騒ぎになりそうだし、できるならば知られたくない。
自分勝手だと思うけれど、欲しいのは子供だけ。

「彼のこと、嫌いじゃないんでしょ?」
「まあね」

どちらかと言えば、いや、かなり好き。
彼と一緒にいればきっと幸せだろうなと思う。
でも、どんなにいい人でも人って変わるから・・・

「美貴って、よっぽどつまらない男にばかり引っかかってきたのね」
注文したカクテルを飲みながら泉美が呆れている。

確かに良い恋愛をした記憶は無い。
最初が駿だったし、大学時代の彼も浮気を繰り返すようなつまらない男だった。
そもそも男って人種は信用できないのよ。

「彼は違うと思うわよ」
「そうかなぁ」
そんなことないと思う。

今はどんなに素敵な人でも、時間が経てば変わっていくんだから。

「一体何が、あんたをそんなに頑なにするのよ」
「それは・・・」

私の唯一の親友泉美。
そんな彼女にさえ私は弱音を吐いたことがない。
「どんなにつらくても泣いたら負けだ」と思って生きてきたから。

そう、私はずっと昔からかわいげのない子供だった。