「で、どうするの?」

数日後、ネットに上げられた記事のことを知らせると泉美は飛んできてくれた。

「うん。でも、そのうちおさまるんじゃないかなとも思うのよね」

一応泉美に連絡はしたものの、すぐに何かしようとは思っていない。
熱しやすく冷めやすいのは女の逆恨み。
こっちが抵抗したり反発すれば余計にエスカレートする可能性もあるし、もう少し様子を見る方がいい気もする。

「でも、このままじゃ今月の支払いもままならないんでしょ?」
「まあね」
確かに、客足が減ってしまった今月の売り上げはかなりピンチ。

店を開いて一年。
これまで順調に売り上げを上げてきた。
それは、本物で高品質なものにこだわった仕入れをしていることと、個人の店ではめったに手に入らない海外ブランドの品を買えるのが口コミで広がったから。
それもひとえに、会社員時代から培った人脈がなせる業。

「2,3ヶ月我慢すれば落ち着くと思うんだけれどねぇ」

それまでは貯金を切り崩してやっていくしかないのかもしれない。
出来ればやりたくないことだけれど、店のためには仕方がない。
それに、今のところ毎月の家賃と人件費と仕入れの支払いをしたうえで私一人が生活できればいいわけで、とりあえず大きな赤字は出さずにすみそう。

「何かあったらすぐに言ってね」
「うん、もちろん」
私には泉美しか頼れる人はいないんだから。