いくら恋愛経験が少なくても、一応キスもその先も経験がある。
さすがにこの年になって初めてってわけじゃない。
それでも、こんなに情熱的な体験は初めてだった。

「ごめん、無理させたね」
真っ暗な寝室のベットの上で申し訳なさそうに言う太郎さん。

私は何も返事ができずに、布団をかぶった。

昨夜の太郎さんが優しかったのかと言えば、違う気がする。
かなり激しく求められたし、容赦なく責められた。
でも、そもそも誘ったのは私で、大人な二人の自己責任。
避妊具も何もない状態で関係を持った以上妊娠の可能性もあるけれど、それでも私はこうなることを望んでいた。
だって、私は子供が欲しかったんだから。
それが太郎さんみたいに優しくて、見た目がよく、お金持ちのお医者様なら文句はない。
こっちからお礼を言いたいくらいの気持ちで、私に後悔はなかった。