極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

栗山先生って言うのは、おそらく私の主治医の部長先生のことだろう。
結構有名な先生でわざわざ紹介状を持ってくる患者さんも多いって聞くから、日彩さんが受診を希望するのも納得。

でも、おかしいなこの空気。
そんなに怒るような話だとは思わないけれど。
一体何がどうなっているんだろうと、少し離れた位置から見ていた。

「妊婦さんが病院で診察を受けるのがそんなにいけないことですか?」
やはり気になったのか、泉美が小声で環さんに聞いている。

確かにね。
新太さんが怒っている理由がよくわからない。

「出生前診断って知ってます?」
「ええ」
妊娠中に赤ちゃんの異常を確認する検査。

でも万能ではないし、実際異常が見つかったらどうするのかって問題があるから、簡単には勧めないって私も言われた。

「日彩さんは産科医だから色んな現実を知っているし、年齢も40歳だし、相手のお家も地元の名家で一人息子だしね、不安なんだろうと思うのよ」

どうやら日彩さんは出産前診断を受けたいけれど、旦那さんは反対ってことか。
なるほど。