自宅マンションに帰ったのは日付が変わった後。
ワンちゃんを残してきた後ろめたさと深夜のタクシー代の出費で少し落ち込みはしたけれど、素敵なマンションで過ごした時間はいい思い出になった。

「あぁー、疲れた」
寝室に置いたベットに体を投げ出す。   

明日は土曜日。
お店を土曜休店日にしている私もお休みの予定。
本来ならゆっくり眠って疲れをとりたいところだけれど、そうも言っていられない。

えっと、明日は7時に起きて部屋の掃除をしてしまおう。
ワンちゃんがいたずらして困るようなものは片づけておかないと事故のもと。
それから不動産屋さんにペットの申請をして、諸々の手続きをしてから買い物に行こう。
ペットを飼ったことのない私には何が必要なのかさっぱりわからないけれど、店に行けば教えてくれるだろう。

「そうだ、名前も付けないと」

どうしようかなあ・・・

ピコン。
メッセージの着信。

あ、太郎さんだ。

『さっきまで泣いていて、やっと眠ってくれました』
すやすや眠るワンちゃんの写真付き。

『お世話をかけます。明日は午前中のうちに迎えに行きます。もし、ワンちゃんが寂しがって鳴くようなら知らせてください』
ありがとうございますのスタンプとともに送るとすぐに、
『おやすみなさい』
のスタンプが送られてきた。