極秘懐妊だったのに、一途なドクターの純愛から逃げられません

急いでカウンターの外に回ると、私は泉美の腕を引っ張った。

たとえどんな事情があるにしたって、お客さんの話に首を突っ込むなんてしてはいけない。
泉美も最初は不満そうにしていたけれど話せばわかってくれて、
「「申し訳ありません」」
私と共にきちんと腰を折って頭を下げた。

「いえ、いいんです。お騒がせしたのは私達ですから」
若い方の女性も謝ってくれる。

「お騒がせしました」
バツが悪いのか、男性もぺこりと頭を下げる。

「私、皆川環って言います」
「皆川さん」

はじめてきたお客さんに自己紹介されたことがなくて、驚いた。

「ああ、環でいいから」
「はあ」

えっと、知り合いじゃないよね?
思わず泉美を振り返った。
ブルブルと頭を振る泉美。

「でね、彼は私の夫」
皆川新太(みながわあらた)と言います」
「はあ」
2人はご夫婦。

どうりでポンポンとものが言えるのか。

「で、私は新太の幼馴染で中山日彩(なかやまひいろ)
「え、中山?」

さっき西村先生って呼ばれてなかった?

「ああ、病院では旧姓で仕事をしているから」
「はあ」
なるほど。

「私たち3人とも同じ病院で働いているの」
「へえー」
なんだか複雑な関係。

「で、皆さんはなぜ東京に?」
私が聞きたいことを泉美が聞いてくれた。