「どうぞ」
「ありがとう」

真理愛さんの入れてくれたハーブティーで息をつく。

はぁー。美味しい。
自分でも気が付かないうちに緊張していたのか、温かいハーブティーが体に染み渡った。

ここは太郎さんの妹である真理愛さんの嫁ぎ先。
どこからが敷地なのかもわからないくらい広い土地に建つ古民家風の建物。
3世代同居なんですって聞かされてお邪魔するのをためらったけれど、そんな心配をする必要もないほど広くて立派な豪邸だった。

「凄いわね」
「ええ、まあ」

太朗さんの実家も広くて大きなお家だった。
でも、ここはスケールが違う。
まるでどこかの旅館か美術館のような造り。
凄いな、凄すぎる。

「確かに広くて大きな家だけれど、暮らしはいたって普通なんですよ」
「へえー」

「庭木の手入れは庭師さんに頼みますし、家が傷めば大工さんを呼ぶし、本当に困れば草刈りだってお願いすることもあるけれど、大抵は家族で何でもするんです」
「それは・・・」
これだけの広さを掃除するだけでも大変そう。

「維持するにはお金もかかりますけれど、その分野菜はみんな自家製ですし、肉や魚介も知り合いからのもらい物が多くてあまり食費がかからないんです」
「ふーん」

すごいなあ。
それに、とってもうらやましい。

「あの美貴さん、一応お兄ちゃんには連絡しておきますね」
「ぅ、うん」

ってことは、もうすぐここに太郎さんが来るってことかな。