「実は、私も主人も小鳥遊家の養子なんです。主人の母が小鳥遊の娘だったので血のつながりはあるんですが、主人は成人するまで小鳥遊家の存在も知らなかったそうです。私も高城に嫁いだ母の連れ子ですし、こう見えて私たち夫婦は寂しい幼少期を過ごしたんですよ」
「そうなの」

真理愛さんは淡々と子供の頃からの話をしてくれた。
私自身複雑な幼少期を過ごしたつもりだったけれど、真理愛さんも苦労人だったんだ。


「ねえ美貴さん」
絶品のパフェをほぼ食べ終わった頃、真理愛さんがまじめな顔をして私を見ていることに気づいた。

「何?」
ちょっと怖いな。

「私ね、主人に黙って敬也を生んだんです」
「えっ」

カラン。
気が付いたら、手からスプーンが落ちていた。

「当時の主人には小鳥遊家の養子になる話があって、仕事でも色々抱えていて、その上高城の父は主人との交際に反対していて、私がいれば主人の負担になると思ったんです」

きっと真理愛さんは今の私の状況を知っている。
だからこそ、こうやって話してくれているんだわ。