カランカラン
店のドアが開く音。

「いらっしゃいませ」
私はいつものように声をかけ顔を上げた。
そして、

えっ。

そこにいる人物を見て動けなくなった。

「お久しぶりね、お姉ちゃん」
「・・・桃花」

そこにいたのは10年以上会っていない妹。
不思議なことに、どれだけ月日が流れても見た瞬間に桃花だとわかった。

「どうしたの?」
突然現れた妹に何しに来たのかと聞く姉。

我ながら随分な再会だなと思う。
でも、それだけの溝が私たちの間にはある訳で、笑顔で抱擁なんてできるわけもない。

「何か飲む?」
「うん、温かいミルクティーを」
「はい」

桃花らしいチョイスだな。
子供の頃からコーヒーも炭酸のジュースも苦手だったものね。

「お腹は?」
「大丈夫」
「そう」