「泉美さん、色々とありがとう。あとは僕の方で手配するよ」
救急の待合で泉美さんと会いとりあえずお礼を言う。

美貴さんは診察に入っているから、泉美さんと話す時間があった。

「美貴は過去のトラウマから人を信じるのが苦手で、何でも一人で抱え込む傾向があって」
「うん、わかっています」

細かい事情までは分からないが、美貴さんがなんだかのトラウマを抱えているのは感じていた。
いつの日か美貴さんの口から話してくれるのを待っていたんだが、さすがにそんなことも言っていられないか。

「美貴のことあまり怒らないでください」
お願いしますと頭を下げる泉美さん。

腹が立っていないと言えば嘘になる。
でも、美貴さんにも事情があったのも理解しているつもりだ。

「どちらにしても、美貴さんと話します」

美貴さんはいい友人に恵まれたようだ。
心配してくれる泉美さんのためにも、きちんと話をしないといけないな。