言葉ではそう言うのに、ヒロの様子に焦りは全くなかった。

受け取った紙を無言で見つめた。

「難しい単語並べて書いてあるけど、要するにレントゲンとかエコーと違って造影剤っていう薬品使いますよ。ってこと」
「だったらそう書けばいいのに」
「だから、そう書いてあるの」

「ふーん」
「薬使うから、少なからず頭痛や吐き気の副作用の可能性もありますよってこと。読んで了承したらここにサイン」

ポンっと机を指さされ、胸ポケットから抜かれたボールペンが置かれた。