その顔を見つめているとブー、ブー、ブーとヒロの胸ポケットで電話がなる音がした。

「はい、須見です。はい、はい。すぐ行きます」
電話応対するヒロをジッと見つめていた。
「凛子。もう行かなきゃ。布団かぶって、さっさと寝ろよ」
それだけ言うとヒロは部屋を出て行った。

今まで何が起こっていたのか…
そっと唇に手を当てた。
さっき触れたヒロの唇…
思い返せば胸が熱くなる…

ファーストキスはヒロが飲んでいた、少し苦めのコーヒーの味だった。