「でも今月は来てないみたい…お花がないのよ。すごい事故だったから私たちも現場に行ってね、車から助けられた凛子ちゃんの側にずっといたの。そしたら覚えててくれて、久しぶりに会ったらお礼まで言うのよ。何もしてないのに…」
「その月命日って何日ですか?」
「一昨日よ」
「そう…ですか。あ、すみません話し込んじゃって」
「いいのよ。先生で最後だから」

2人に見送られ店をでた俺は来た道を引き返した。毎日毎日、通っている道なのに気づきもしなかった。押しボタン信号の下に小さな花瓶があることを。
俺はそっと手を合わせ帰宅した。