「ポジティブな運命って?」
「そりゃステキな女性と出会った時とか」
「じゃあネガティブな運命って?」
「……患者さんが亡くなった時」
「……そっか」
「たった今、亡くなったのがその人の運命だったなんて誰も信じたくないだろ。人の命は運命だなんて言葉で片付けられるほど簡単なモノじゃない」

自分で言っておきながら、過去の辛い記憶が蘇り伏し目がちにそう答えた。

「…亡くなったのが運命じゃない…」
そう呟いた凛子の目にはまたしても涙が滲んでいた。

束の間の沈黙の後、空気が重くなったと感じた俺は話題を変えようと再び凛子の方を見た。