「ったく」
リモコンを取り、ベッドのリクライニングを起こした。
「うわっ、何すんの急に」
「これぐらいなら平気?」
「ん、うん」

「心室中隔欠損症。これが凛子の病気」
「……」
「先天性の物だから原因は分からない」
「……」
「乳幼児期のオペの跡もないのでおそらく、欠損は中等以下だと思う」
「……」
病状の詳細を話しても凛子は何も答えなかった。

「おそらく。と言う仮説の話は時間の無駄だ。これから順に検査を受けてもらうから」
「……ねぇ」
「今の状態を正しく知ることで今後の治療方針を決めることができる」