理不尽な扱いに嫌気が差し、カルテを机に放り投げ、コーヒーを注いだ。
「自分がサボりたいだけじゃんか…」
独り言を言いながらデスクに戻った。

窓の外を見ながらコーヒーを飲んでいると、少し気分も落ち着いてきたのが自分でも分かった。

「VSD(心室中隔欠損)か…」
投げ捨てたカルテに目を通した。
「イチノセ リンコ (F) 22歳…えっ!!凛子?」
カルテ相手に大声を出してしまった。
「マジで凛子か?」
食い入るようにカルテを確認した。