「寒っみー」
随分と前に時計の針は12時越えた。まだ半分しか開いていない自動ドアをすり抜け家路を急いだ。

「こんな寒い日はさっさと風呂に入って、ビールビール」特に理由なんて無いけれど柄にも無く鼻唄を歌いながら小走りで向かった。

少なくともアイツに出会うまでの俺の気持ちは至って普通で安定していた。むしろ散々だった1日を終え帰宅できる喜びに満ちていた。