桜は君と私の春を埋めた。
私は知らなかった、君がもうこの世に居ないってことは。
どこかで気づいてたんだと思う。
温もりの感じない手
透き通った肌
皆に君の写真を見せても「私しか写ってない」と言われた事。
でも私は覚えてる、思い出の場所で初めて手を繋いだのも、キスをしたのも覚えてる。
なのにこの世界では私達の思い出を残すことが出来なかった。
だから、
私達の思い出の場所で、
永遠という呪いを2人にかけて、
ずっと一緒に……。
………
……



私の通ってた学校は古くてボロボロだった。だから中庭に咲いていた大きな大きな桜の木は学校の中で人気だった。
そこに一つだけベンチがあって、そこで告白すると恋が叶うっていうジンクスまであったほどだ。
でも朝早くに桜の木のベンチに座ると恐ろしい事が起きるとも言われていた。そういうのを信じない男子達が朝練前にベンチに座ってみたらしいがその日から男子達は様子がおかしくなって学校に来なくなった。何度も理由を聞いてみたらしいが聞く度に震えだして喋れる状態じゃ無かったらしい。
それから朝早くに桜の木に近寄るものは居なくなった。
私の入っている部活は美術部で朝早くから部活動ってのは無かったからそんなに気にする事は無かった。そして私もはそういうのには興味がなかったから関わりの無い噂だと思ってた。
でもある日部活で朝早くに美術室を使うから道具を片ずけるのを手伝ってくれる人を募集されていた、
「みなさん聞いてください、明日朝早くにこの部屋を使うので誰か1人道具を片付けるのを手伝ってくれませんか?」
そうせ先生が言うと先生が私に近寄って話しかけてきた。
「部長の爽南(サナ)さんお願い出来る?」
「え?」
先生はそう言うとみんな「部長やりなよ〜」って声が小さく聞こえた。
それで私はみんなに押し付けられて少し早めに学校に行く事にした。
「なんで私がしなきゃならないのよ。」
学校に着くと教室に荷物を置いて美術室に急いだ。美術室に行くためには中庭の近くの廊下を必ず通る必要があった。私は仕方が無くその廊下を通る事にした。早めに学校に来ているから学校には先生ぐらいしか居なくてすごく静かだった。
「うわぁ 朝早くの学校って不気味だな……。」
廊下を歩いていると中庭の桜の木の下に人影があるのに気づいた。
「へーこんな早くに私以外に居るんだ。」
私は興味本位で中庭に行く事にした。桜とベンチが見えてきた頃ベンチの近くに女の子が居ることにきずいた。
「うわぁすごく綺麗な子だ……。」
その子は桜の木の下で桜を眺めていた。その子の目は光が無く絶望したような黒みがかった桜色の瞳をしていた。