彼の視線がゆっくりと向けられると、のどが、きゅっと締めつけられた。
今まで彼と、そんな話をしたことがなかったから。
なんて答えたらいいのか、わからない。
「……なんで、…そんなこと訊くの?」
「好きだから」
「………えっ」
「オレ、一花のことが好きだ」
ゆっくり流れていた時間が、ぴたりと止まる。
突然の彼の言葉に、息をするのも忘れてしまうくらい。
「付き合ってくれない?」
彼が、わたしを。
好き…?
付き合って、……って言った?
見上げた彼の向こう側。
空を覆う雲の灰色ですら、キラキラと輝いて見える。
頭の中も、心の中も。ぐちゃぐちゃにかき混ぜられたみたい。
いろいろな感情が渦となって。
そこからプカリと浮かびあがってきた言葉。
「わたし、も…」
思わず口に出してしまったけど。
それ以上は、のどにつかえたままだった。



