わたしの目の前で立ち止まった彼。
一緒にいた友だちが校門を出て行くのを見送ったあと、両手をポケットに突っ込んで小首を傾げる。
彼のその仕草に、ドキドキと動きを速めた心臓がすぐさま反応する。
頬が熱い。体じゅうが熱い。
「……部活、だったの?」
「うん。一花は、草取り?」
「う…、うん」
「やっぱり。そうだと思った」
蒸し暑さなんて感じさせないくらい、涼しげ。
彼の纏う空気は、いつだって特別。
うっすらと汗をかいた首筋を、生ぬるい風が撫でていく。
肩の上で切り揃えた髪が揺れる。
そんな、なんてことない瞬間ですら、彼に見つめられていると思うと、恥ずかしくてたまらなくなる。
「戸山くんは、帰らないの?」
「帰るよ。一花に、言いたいこと言ったら、帰る」
「え……?」
わたし、に?……言いたいこと?



